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旧サイトから。
ヒノエ→←弁慶。


ヒノエサイド



頬を手で固定し顔を近づける。
触れ合う唇の柔らかさは、男も女も変わらない。
ぺろりと唇を舐め上げ、舌を口内へ侵入させる。腕の中の体はピクリと揺れたけれど、逆らう事はなかった。
それは諦めか、優しさか。
それとも。

「俺は、どっちの身代わり?」
異界に消えた二人。
可愛らしく強かった神子は、九郎を連れて異界に帰った。
「なぁ弁慶…どっちがあんたの本命だった?」
問いに彼は目を伏せて。
「さぁ…どちらだったんでしょうね」
呟きに、苛立つ。自分から聞いたくせに、勝手なモノだと自嘲する。
「どっちでも良いか…どちらにせよあんたは、捨てられたんだ」
「……」
「望みのない思いを抱えて、そのくせ追うことも出来ずに」
見苦しいモンだと吐き捨てれば、彼は俯いたまま首を振った。
「いいえ」
「なに?」
「いいえ、たとえ望みが無かったとしても…追う事すら出来なくても」
ゆっくりと上がった顔。その目は予想に反して濡れてはおらず。
「この思いを見苦しいなんて、思いませんよ、僕は」
そこまで、思っていたのか。そんなキレイな眼差しで…瑠璃にも珊瑚にも勝るその輝きで。
今でも…お前を捨てて行った相手を、思っているのか。
「…馬鹿馬鹿しい」
目をすがめ弁慶の腕を掴み。
「ヒノ」
「まぁ良いさ。俺がそんな可愛そうな叔父さんを、慰めてやるよ」
「ヒノエ……」
見開かれた目が、苦しげに歪み
その様をヒノエは暗い情熱を込めて見つめた。







弁慶サイド


重ねられた唇は熱くて、それがこの事態を現実の事だと告げていた。
座ってぼんやりと庭を見ていた自分に、突然声をかけてきたヒノエ。
一言二言の会話の後に、不意に重ねられた唇。
どうしてと問う事も、逆らう事も出来ずにいると、唇を離したヒノエは皮肉な笑みを浮かべた。
「俺は、どっちの身代わり?」
一瞬意味が掴めずに、マジマジとヒノエを見る。
「なぁ弁慶…どっちがあんたの本命だった?」
その言葉に、ようやく彼の問いの意味がわかった。
この世界に呼ばれ落ちた神子が、弁慶にとって大切だった友と共に帰っていった。恐らくヒノエは、そのどちらかに弁慶が惚れていたのだとそう判断して来たのだろう。
慰めるためか…いや、ヒノエに限って男にそんな親切心を働かせる奴じゃない。ならば、からかう為か。
不意に生じた胸の痛みに、思わず弁慶は視線を落とす。
「さぁ…どちらだったんでしょうね」
どちらでも、ない。だからそうやって返事を誤魔化す。神子も可愛く愛おしく思っていたし、九郎も大事な相手だ。だが、それ以上ではなかった。
どちらの感情も、胸を焦がす『この』想いとは、別の物だ。
「どっちでも良いか…どちらにせよあんたは、捨てられたんだ」
「……」
冷たい声。馬鹿にしたような、軽蔑するような。それでも、本心を知られるよりはずっと良いと思う。
だけど。
「望みのない思いを抱えて、そのくせ追うことも出来ずに」
見苦しいモンだと吐き捨てられて、黙っていられずに首を振った。
「いいえ」
「なに?」
「いいえ、たとえ望みが無かったとしても…追う事すら出来なくても」
ゆっくりと顔を上げる。
そうだ、告げることなど出来ない…この禁忌の思い。血を分けた甥であり、同性であるこの青年に抱いてしまった、歪んだ妄執。
それでもそれを、その思いを、貶められたくは無かった。
せめて一生抱えていく想いだから…思いを向ける相手に、たとえ否定されても。
「この思いを見苦しいなんて、思いませんよ、僕は」
言った途端、驚きに見開かれていたヒノエの目が瞬き、どこか暗い光を帯びて。
「…馬鹿馬鹿しい」
言葉と共に腕を掴れた。
「ヒノ」
「まぁ良いさ。俺がそんな可愛そうな叔父さんを、慰めてやるよ」
「ヒノエ……」
幾分自分より小柄な甥の体は、それでも逆らいきれぬほどの強い力で伸し掛かって来る。
畳の上に押し倒され、見上げた愛する相手の顔は、まるで敵でも見るかのように憎々しげに歪んでいて。
耐え切れず、目を閉じて彼の姿を視界から消した。


あるいは、と思う。あるいはヒノエは、かの神子姫を思っていたのかもしれない。だからこんな風に、どこにも向けられぬ怒りの矛先をこちらに向けてきたのかもしれない。

真実は見えないけれど。
理不尽とも思えるヒノエの暴力的な欲望を、弁慶には拒む事など出来はしないのだ。








すれ違い系で『両想いな片思い』が好きだったりします。こう、切ない感じの。
でも自分で書いても全然切なくならず。
誰か書いてくれないかな…。読みたい。


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アサ

Author:アサ
二次創作を吐き出すブログ。
男同士や男女や女同士の恋愛を扱う物が多いです。
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