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旧サイトから。
九郎←弁慶でヒノエ→弁慶。



「もっと、俺を頼れ。弁慶」
真っ直ぐな、言葉。
不意に泣きたくなって、弁慶は小さく笑った。
背中を向けている彼には、気付かれなかっただろけれど。
「いつだって、お前は無理ばかりをする……お前に倒れられれば、俺が困るんだ」
ぶっきらぼうな気遣い。上手く表せない優しさ。

僕なんかに、優しくしないで欲しいと、そう思う。
こんな風に不意打ちされれば、泣きたくなってしまうから。
「大丈夫ですよ」
それでも僕はこうやって、笑みを浮かべて嘘をつく。




その背中に



「あんたはさ、嘘で固めて生きてるよね」
甥に言われて、どきりとした。
「失礼ですね、ヒノエ」
「だってそうじゃないか。あんたは全然、本当を見せない。笑っていたって、心で何を考えているかわからない」
流石に鋭い。あの兄の息子だけあると、内心感心する。
「それで?それが何か問題でも?」
室内にも隣の部屋にも…声の聞こえる範囲に他者がいない事はわかっていたから、あっさりと弁慶はそう返した。
「君に迷惑をかけたつもりは、ありませんが?」
「っ、」
そう返されるとは思わなかったのか、ヒノエは一瞬ひるんだ様に息を呑み、そんな自分に腹を立てたのか顔を背けて舌を鳴らした。
「迷惑なんだよ」
「どこら辺が?」
「イラつくんだ、あんたを見てると」
「それはすみません。出来る限り貴方の視界に入らない努力をしますから、貴方も僕の方に視線を向けない努力をしていただけますか?」
飄々とそう返しながらも、内心はショックだ。尊敬する兄に良く似たこの甥を、弁慶自身は大切だと思っていたし可愛がっているつもりだったのだから。
ヒノエはグッと下唇を噛むと、絞り出すように言う。
「そうじゃない…そう言う、意味じゃないんだ」
「じゃあ、どう言う」
「あんた、あの大将に惚れてるだろ?」
突然の、言葉。隠し続けていた気持ち。それを言い当てられて、弁慶はハッと顔を上げる。上げてしまってから…後悔した。
もっとさりげなく、流してしまわなければならなかったのに。
「何の、事です」
今更と思いながらもそう言えば、ヒノエが複雑な笑みを見せた。
「バレバレだよ、あんた…あいつの背中ばっかり追いかけてるから」
「僕は、」
「だから…ムカつくんだ」
一瞬何が起こったのか理解できなかった。不意に崩された姿勢。座っていた床にそのまま押し倒され、ヒノエが上から覗き込んでくる。
「ヒノエ…?」
「だから、ムカつくんだよ、あんたは。俺が……あんたがあんな奴と出会うずっと前から、俺があんたを見てたのに」
いつもの、人を食った表情じゃない。真剣な…どこか泣き出しそうな目と、
「俺に、しとけよ。叔父さん……」
そして、重ねられた唇。


大切な、甥っ子。いつの間にこんな、男の顔をする様になったのか。
少しずつ深く重なる唇と、滑り込んできた滑らかな舌。
絡められ吸上げられ、微かに歯を立てる。彼の思いを代弁するかのように激しく情熱的な口付け。
『このまま』
そっと、手が上がる。
『このまま、ヒノエに』
流されてしまえたら。
彼の背に腕を回ししがみつく寸前、閉じた瞼の裏に浮かんだのは彼の人の背中。

『いつだって、お前は無理ばかりをする』
あの不器用な、優しさ。


背に回りかけていた腕を、結局弁慶は下ろした。
「……弁慶…やっぱり、俺じゃ駄目だって?」
「ヒノエ、僕は」
「それでも……俺はあんたを」
きつく抱きしめてくる腕の温もりを感じながら、なぜこの腕では駄目なのかと弁慶は自嘲する。
彼を愛せれば。
あの人を諦められれば。









九郎←弁慶とかヒノエ→弁慶が書きやすいので、自然こんな形に。
すまん、ヒノエ。次はきっと良い目見せてあげるから!
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アサ

Author:アサ
二次創作を吐き出すブログ。
男同士や男女や女同士の恋愛を扱う物が多いです。
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