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ネタバレしまくり。





 目覚めた時、最初に目に飛び込んできたのは、今にも泣き出しそうに濡れた琥珀だった。
 見慣れているような気がするその色が、何であるかを思い出す前に、突然それは視界から消え同時に体を圧迫される。
 痛みより驚きで身を強張らせたが、圧迫が緩まることは無かった。
「ひいらぎ」
 名を呼ばれ、幾度か瞬きをする。そこで己の視界がいつもより狭まっている事に気付いた。その視界の隅で、今度はやはり見慣れた少年がこちらを見下ろしている事に気がつく。
 怒りに深藍の目を燃やし、顔面を蒼白にさせた少年は、己の目がその姿を捉えたと気付いた途端に口を開いた。
「何をやっていた!」
 唐突に怒鳴られ、思わず目を見開く。
「どこで何をすればそんな怪我を負える!大体中つ国は今、大変な時なんだぞ!それを一人でフラフラした挙句、そんな怪我を負って!お前まで……」
 言葉は横から伸びた手に、遮られた。細くシワが寄っているが、力強さを感じる手。その手の主であり己の師である女性が、首を振った。
「怪我人相手に、あんまり怒鳴るんじゃないよ。あんたはちょっと使い走りに行ってくれないか?」
「師君……」
「柊が目覚めたと、医者を呼んどくれ」
 少年は唇を噛んで、頷くと身を翻す。
 少年の姿が部屋から消え、足音が遠ざかってから彼女は溜息を吐いた。
「今ので少しは予測がついたと思うけど…あんた達が龍を倒しに行った事は、隠されてる」
 声を出そうとしたが、喉が上手く動かない。
「流石にね、龍神の神子が龍に楯突いたなんて、発表できないからね。狭井君が上手く手を回して……羽張彦と一ノ姫が駆け落ちしたって事になった」
 それでは、それでは二人があまりにも。
 だが、それで彼女達を責めるのも可笑しな事だ。二人を危険にさらし、二人を死なせたのは間違いなく己。
 未来を知っていながら、死に追いやったのは自分なのだ。
「とにかく、そう言う事だから。表立てない以上アンタに咎が行く事はないよ。それと、そこのそれに感謝するんだね」
 ボロボロのアンタを、連れて帰ってきたのはそいつなんだから。
 指されたのは、己の体を抱きしめ圧迫している男だ。
 成る程と思う。彼ならば、あんな常世の外れに居て死に掛けていた自分を、助けて連れ帰るのも出来ただろう。
 大きな流れには逆らえずとも、小さな命を救う事は出来ると言う事か。
 何も言えずにいれば、師君はやれやれと溜息を吐いて部屋を出て行く。
 そうして部屋に二人きりになって、初めて圧迫が解かれた。
 切なげに細まる視線にさらされ、言葉が出ない事に苛立ちを感じる。言葉で煙に巻き、人をだまし、人を宥める事は得意だ。だがその最大の武器が使えぬ今、この悲しい目をした男をどうすれば良いのか分からない。
 未来が見えても、こんな時は何の役にも立たないものだ。
 仕方がなく、痛みはしても動かなくは無い左手を伸ばす。そっと頬に触れれば、一瞬ピクリと身を震わせてから男はうつむいた。
「すまない」
「………」
「すまない、柊」
 何を、謝るのか。
 己と同じように未来を知りながら、彼が定めに抗えぬ事は分かりきっている。彼の真を知っているからこそ、それを責める気は無いのに。
 仕方なく頬を撫でていた手で軽く耳を引っ張り、身を屈める様に指示を出す。不思議そうにそれでも近づいてきた頭を、そっとその腕で抱きしめた。

 この、己以上に傷ついた獣が、愛おしかった。


─────────────────────────────────

 どうしてみんな、二人駆け落ちだと思ったのかと言う自分疑問を、自分なりに考えて見た結論。
 しかし柊、どこまで知ってるのか。たぶん風早正体の発表時の反応から見て風早=麒麟は知ってたっぽいけど。孤高の書のラストを見る限り、時代の繰り返しも知ってたっぽいけど。
 前の時代の記憶があるのかと言うのが良く分からない。それがあるなら、羽張彦と一ノ姫を救えそうな気もするし。
 うーん。
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アサ

Author:アサ
二次創作を吐き出すブログ。
男同士や男女や女同士の恋愛を扱う物が多いです。
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