今ー私のー願ーい事がー叶うなーらばーリンソーマ欲しーい。と言う事で、リンソマ分が足りません。
皆、もっとリンソマ書こうよ!ソーマ受け書こうよ!自分が書いたリンソマじゃ、萌え補充できないよ!誰か私にリンソマ恵んで下さ…い。
そんな事を言いながら誰得にもならないような酷い男リンドウと可哀ソーマなリンソマを書いてみました。
そう言う事は他のリンソマ好きさんを満足させる事が出来る物を書いてから言えというやつですね、すみません。
「最低ね」
冷ややかにサクヤに言い捨てられ、思わず目を見開いた。
「何で?」
「そんな質問が出て来る所が、輪をかけて最悪だわ」
さっぱり意味がわからなかったが、そう言われてしまうと問いにくい。リンドウは誤魔化す様に、ガリガリと頭を掻いた。
最近入って来た新型新人は、本当にひたすら普通の少女だった。少し気が弱く引込み思案で、だが一生懸命な勉強家。
なかなか期待の新人が入って来たと思って見守っている時に…ふと、気付いた。
彼女は、ソーマに惹かれている。
ソーマと行った最初の任務で彼女は初の人死にを体験しており、ソーマの噂も知らない訳ではないだろう。それでも、彼女は真っ直ぐな目でソーマを見つめている。
いい傾向だ、と思う。恋人と言う存在が出来れば、あの頑なな彼の心も解けるだろう。
あの不器用で優しい少年に、幸せになって欲しいとずっと望んでいた。昔から彼を知っており見守ってきたと自負する身としては、彼に恋人が出来るのは確かに寂しい。妙に胸がざわつくし、面白くはないが…娘を嫁に出す父親の心境だろう。
何はともあれ自分の不快感よりソーマの幸せ、と。そう思って本日、エントランスで捕まえたソーマに、聞いてみたのだ。
『お前、新型の子の事、どう思ってるんだ?』
『可愛いし性格も悪くないだろ?』
『なんつーか、ほら、ちょっと位はイイナ、なんて思ったりしねーの?』
その時のソーマの表情は、なんとも言いがたい物だった。
驚いたような、怒ったような…それなのに酷く傷ついた悲しげな…。
少し震える唇が開いて、紡がれた言葉は一言。
「うるせぇ」
低く感情を押し込めたような声に、声にならない悲鳴が隠されている気がしてそれ以上何も言えなかった。
もしかしたらソーマもちゃんとあの新型を好きで、だけどいつものごとく『自分は死神だ』なんて思い込みで引いてしまっているのかも知れない。
そんな事をぼんやりと、去っていくソーマの後姿を見ながら思っている時にサクヤに声をかけられた。それが冒頭の言葉になる。
どうもソーマとの会話を聞いていたようなのだが、どうしてそこで『最低』になるのか。やはり先ほどの想像通りソーマは新型を好きで、サクヤはそれを気付いているからこその言葉なのだろうか?
そんな疑いを持ってサクヤへ視線を向ければ、彼女は溜め息を吐いた。
「貴方は知らないみたいだけどね…ソーマには好きな人が居るの」
「……へ?」
「あの新型の子が入ってくる前から、ずっとね」
なんだか、頭を殴られたようなショックを受ける。
ずっと見守ってきたつもりだったのに、サクヤは気付いていてサクヤより付き合いの長い自分が気付かなかったのもショックだ。
だがそれ以上に…想像ではなく事実として語られる、ソーマに惚れた相手が居るという事実が衝撃だった。
「誰、だ?」
「え?」
「あいつが惚れてるのって、」
聞きたくない。聞いたらその相手に対する自分の対応が確実に変わる。だが聞かずに済ます事も出来ない。
「そうね…最低な男よ」
「……っ、男!?」
「馬鹿、声が大きい」
慌ててリンドウは口をつむぐ。そういえば、ここはエントランスだ。
「確かに『産めよ増やせよ』の時代だし、同性愛は禁止って意見もあるけどね。恋愛の前にそんなのはナンセンスだわ」
「いや、そうかも、知れねぇけど……」
なんだか頭が痛くなって、リンドウはこめかみに指を当てる。
大事なソーマを女にやるのだってきつかったのに、男へ嫁に出さなければいけないのか。しかも、
「しかも、最低な男?」
「そう。とりあえず『恋愛する気はない』って公言してて」
「俺以外に、居たか?そんな事公言してる奴」
リンドウは確かに、それを公言していた。アナグラでトップクラスの実力のせいか、女に言い寄られる事が多くて鬱陶しかったのと、恋愛をする暇があれば一体でも多くのアラガミを倒すべき、と言う信念があっての事だ。
「それから、鈍感ね。あの子の気持ちなんて全然気付かずに傷つけるような事平気で言うし」
「……」
「他の相手とくっつけるような事言ってみたりして。しかも傷つけてる自覚もないのよ」
最悪でしょ?とサクヤに指を突きつけられ、リンドウは眉の皺を深くした。
「なんであいつ…そんな最悪の男なんかに、」
よりによってそんな男に、惚れる事なんてないだろう。自分はソーマを、そんな男にくれてやらなければならないと言うのか?
他の男に触れられるソーマを、想像しただけで胸が妬けると言うのに。
そこまで考えて、ようやくリンドウは自分の気持ちを自覚する。
父親や兄の気持ちだけで、ここまで胸は妬かれはしない。背筋を這い登る嫌悪感と怒りは、ソーマへの想いが優しいだけの物ではないと示していた。
「駄目だ」
「…何が?」
「そんなの、許せない」
そのまま大股でエレベーターに向かう背中に、サクヤの「ホントあの子悪趣味よね」等と言う笑みを含んだ声がかけられたが、構っている時間が惜しい。
今からソーマの部屋に行って、何から話せば良いのかはわからない。
とりあえず「そんな最低な男は止めて、俺にしとけ」と直球を投げてみようか?